青森県弘前市、グリーフケアアドバイザー佐々木清美です。今回はグリーフを受けた際にどんな精神的、身体的反応が起こるのか、また日常生活と行動の変化についてお伝えしようと思います。
◆グリーフを受けると~精神的反応~
故人への「思慕~思い慕う~」が核となり、次のような反応がみられます。
・ショック(信じられない、受け入れられない気持ち)
・感情の麻痺(大きなトラウマに対して自分を守るため何も感じない、無反応)
・怒り(大切な人を奪った病気や事柄についてや、何も出来なかった自分や周りに対して、加害者や医療機関に対して、または自分を残して亡くなってしまった故人に対して)
・探索、ちらつき(故人をつい探してしまう。面影を追ってしまう)
・恐怖に似た不安(死を身近に感じたことによる緊張感、気持ちが落ち着かない、常に死に関するイメージが浮かんでしまう、今後の生活に対する不安)
・孤独感(誰かといても埋められない感情、特に配偶者を亡くすと強い)
・疎外感(同じ気持ちの人はいない、誰にもわかってもらえない、自分だけ周りから浮いている、社会から置いてきぼりにされているような気持ち)
・罪悪感、自責の念(故人に対して自分がしたこと、しなかったことが原因で亡くなってしまったのではないか、もっと優しくすれば良かったなど、故人に対して自分がしてしまった態度について)
・無力感、疲労感、抑うつ状態(大切な人を亡くしたことで生きる意欲が無くなる、無気力になる、人と会うのが億劫になる)
・安堵感、開放感(長期の看病や介護の末の死別、抑圧的な態度の相手やDVの夫など、険悪な関係の相手との死別では死によってその問題が解決することもあるため。しかしその反面、ほっとする自分に対して罪悪感や自責の念を持つことも)
以上、精神的な反応です。
◆グリーフを受けると~身体的反応~
死別で感じる悲しみは、本当に過度のストレス状態と言っていいと思います。今までの当たり前の日々が、これからも続くと思っていた幸せが、死別によって急に失われてしまうのです。そのストレスは、身体的にも大きな影響を与えます。
・睡眠障害(寝付けない、何度も起きてしまう、眠りが浅い、すぐ目覚めてしまう、起きられない)
・食事に関すること(食べられない、食欲がない、過食、膨満感)
・体力の低下(風邪をひきやすくなる、運動能力が落ちる)
・動悸、息切れ
・頭痛、吐き気
・身体のだるさ、疲労感
・口が乾く
・めまいやふらつき、耳鳴り
・過度の緊張による筋肉痛
・ため息が出る
・血圧の上昇、または低下
・持病の悪化
・性欲の低下
・白髪が増える
・皮膚が敏感になる
・自律神経失調症
・体重減少
・免疫機能低下
以上、身体的反応です。
◆グリーフ後の日常生活と行動の変化
大切な人を亡くしても、日々の生活は続きます。
でもその日常は、もう当たり前に過ごしてきた日々とは違うものです。今までと同じように朝がきて日が暮れていくというのに。。
同じ毎日が、もう全く違う日常になってしまうのです。
悲しみのさなか無我夢中で葬儀を終え、気がつくともう大切な人はここにいないという現実を思い知らされるのです。その当たり前の日常が、ひたすらつらいものや、ただ過ぎていくのを待つだけの毎日になってしまうこともあるのです。
ぼんやりする、知らず知らずのうちに涙が溢れてくる、多くの「なぜ」「どうして」の決して解けることのない答えを探し求めてしまう、うつ状態になり引きこもってしまう、落ち着きがなくなる、逆にじっとしていられず動き回り活動的になるなど、今までとは違う行動をしてしまったりということもみられます。
大切な人がこの世を去ったのが突然であればあるほど、怒りの感情が大きいように私は感じます。その死の責任の所在を明らかにしようとすることで活動的になるひともいますし、その憤りや悲しみを何かに昇華させようとボランティア活動に携わる人もいます。
一見すると元気に見えるかもしれませんが、もしかしたらグリーフを受けた本人でも気づかない心の揺れや、行動をしているかもしれません。落ち着いていて、もう回復しているのでは?という人でも、きっかけさえあれば何年か経ったのち、またグリーフの想いが蘇ることもあるのです。もしかしたら、生きている限り続くものなのかもしれません。それはグリーフが、人生においてとても衝撃的で根の深いものだからなのだと思います。
実際、私も今自分自身を保てているのも、こうしてグリーフに携わることが出来ているからだと思います。死産したことにより今までの生活からは一変してしまいましたが、ずっと私らしく生きているように思うのです。これもすべて次男が私のところにきてくれたからと感謝しています。
グリーフに関して、少しでも理解していただけたでしょうか?
今後もグリーフケアに関しての情報をお届けしたいと思います。お付き合いいただけたら嬉しいです。