青森県弘前市グリーフケアアドバイザー佐々木清美です。
私の住む弘前市は、弘前城の桜で有名な町です。日本一の素晴らしい桜だと思っています。
桜の花が咲く季節は、北国に住む者はみんな待ち焦がれた春の到来に心踊るものですが、5年前から私にとっては嬉しさと寂しさと悲しさがこみ上げる季節になりました。
今回はその事について書いてみようと思います。
Contents
市役所の桜
私には、5年前からずっと大切にしている桜の木があります。
弘前城の桜ももちろん美しくて愛してやまない桜ではありますが、それよりもずっと大切な想いで毎年見上げる桜の木があります。
それが市役所の桜の木。
せいちゃんが生まれたのは、2014年5月2日。今年もまたお誕生日をお祝いしましたが、せいちゃんが生まれる前、家族で桜を観に行った時に、「来年もまた一緒に見よう」とせいちゃんに話しかけた場所なのです。
なぜその木だったのか、なぜそこでそんな風に話しかけたのか、自分でも未だにわかりません。でもとても自然に口をついて出た言葉だったのです。
誕生日と命日
せいちゃんが生まれたのは、市役所の桜の木に話しかけてから1週間も立たない、とても暑い日でした。満開だった桜は強い風で桜吹雪になりました。
あの日から、5月2日は誕生日と命日となりました。今でもまだ、1秒でも生きて欲しかったと思っています。時が解決してくれるとは思いつつ、時々こうして何事もなかったように日常を過ごすことに罪悪感を感じたり、冷たい母親なのではないかと自分を責める日もあります。生きて産んであげられなかったことを、これからもずっと思い、悔やみ、悲しむのかもしれません。と、同時に、私に宿ってくれた大切な命、家族になってくれたことに対する深い感謝の気持ちもあるのです。
私がこの世を去るまで、きっとこの様々な思いがないまぜになった気持ち「グリーフ」は無くならないのだと思います。
桜の季節のたびに
桜はまた今年も咲き、そして散っていきました。小さな頃から、家族で1時間近くもかけ車で観に来ていた桜。それは本当に特別な、毎年恒例の家族行事でした。
そして私はこの地に嫁ぎ、もっと身近に桜に触れ、桜を感じてきました。
せいちゃんが桜の季節に生まれ、空に還っていった後も、変わらず桜は咲き続けています。
桜の季節の度に、私はこれからも嬉しさと寂しさ、そして悲しみを感じて生きていくのでしょう。そして、それはきっと、せいちゃんを忘れない、せいちゃんを大切に思い続ける事と同じなのだと思います。
弘前の桜、みなさんもいつか見にいらしてください。そしてもしよかったら、市役所の桜にも目を留めていただけると嬉しいです。