母とのこと〜緩和ケア病棟にて〜

シェアする

青森県弘前市日本グリーフケア協会グリーフケアアドバイザー特級佐々木清美です。

以前母のがんについて書きましたが、その後について書き記そうと思います。

※画像お借りしました

その後

あの2019年4月の余命宣告から、1年9ヶ月。今日2021年1月31日の夕方、母は旅立ちました。

11月末に抗がん剤治療が中止になり、12月には親しい人に伝えたいことは伝えるようにと言われ、1月まではそのように自宅で過ごしていました。

11月にはまだ立って玄関先まで子ども達を見送っていた母が、12月はベッドから起き上がるのも辛いらしく、私たちが行っても横になって話したりしていました。

お正月を迎える頃は声もあまり出なくなり、7日辺りからはトイレに自力で行けず、成人の日に訪ねた際には、もう在宅看護を始めるから来なくていいと言われました。きっと弱々しい姿を見せたくなかったのかもしれません。

それから在宅看護初日に、もう在宅で診る段階ではないと判断され、そのまま緩和ケア病棟に入院となりました。そこから1週間、本当にあっという間でした。

亡くなる数時間前は痛みで苦しかったようですが、父が来てからは薬のせいもあるかと思いますが、安心したのか眠りについたそうです。夜に付き添いするために父とバトンタッチして私が来てからは(コロナ禍のため、緩和ケア病棟では特別な事情がない限りは面会制限をされており、面会ができる場合でも2人まで15分と決められていました。夜間の付き添いも入院当日、もしくは峠の際には1人付き添えるという感じでした)脈がどんどん弱まっていき、本当にあっけなく、静かな最後でした。

最後の診察の時、なんかドラマで見たようなシーンに現実味がなく、でも頑張ってきた母を思うと、最後に私が看取れたことは、本当にご褒美のように感じています。

今思うこと

母はずっと携帯のメモ機能に日記を残していました。弟が今日それを見つけて、母が身体の異変に気づいたのが2018年初めと知りました。

ずっと目眩があり、胃の調子も悪く、さらには糖質制限しているにも関わらずずっと血糖値が下がらず、胃カメラ検査や通院している、とメモには記されていました。病院嫌いの母が、異変を感じて通院していたのに、初期のうちに癌を見つけるには至りませんでした。そんな風に膵臓がんは、本当に静かに静かに母の身体を弱らせていきました。最後は腹膜と肺にも癌が広がり、お腹が膨れてしまい切なかったです。

母は本当に我慢強い人で、最後まで泣き言を言うことなく旅立ちました。弱音を吐き出させてあげられなかったのは、申し訳なかったと思っています。

思えば、告知の日も最後の日も、結局2人きりでした。それは母が私に伝えたかったことなのかもしれません。子どもの頃はずっと相容れない人だと思っていましたし、愛されていないと思っていました。

最後に伝えたいこと、と、私に母が話してくれたのは、「子育てをやり直したい」という言葉でした。若くして結婚して、生活にいっぱいいっぱいで、責任感だけで子育てしていたからと。でも、あの時厳しく育てられていなかったら、今の私はいないので、そこは感謝の気持ちでいっぱいです。小さな頃、あんなに遠かった母の手を、最後にずっとにぎることができて、そのことは、悲しい中でも嬉しい時間になりました。

思い出があるから

今、私は冷静な気持ちと、今にも泣き出しそうな気持ちと、両方抱えています。

病院の都合で、母と自宅に戻るのは、今夜9時過ぎになりそうで、母としんと静まり返った病室に2人きりで、気持ちを整理するべくブログを打つ姿は、誰かが見たら、もしかすると異様に見えるかもしれません。

お腹が空いているのに、何も食べる気が起きず、ただこうして指先を動かすことで、もしかしたら冷静さを保とうとしているのかもしれません。

最後に母がうちに帰る服に着替えてから、看護師さんに母へ化粧をお願いされました。母に化粧するなんて、最初で最後です。ドキドキしながらファンデーションを塗り、パウダーをはたき、口紅をつけ、ほお紅を乗せると、今にも起き上がりそうな血色のいい顔の母に戻りました。

こうしてこれからひとつひとつお別れの支度をして、グリーフを受け止めていくのでしょう。一番辛いのは、荼毘に付される時かもしれません。今はまだ肉体があるので、一緒にいるという気持ちでいられるので。

これから自分や家族に何が起こるのかをグリーフケアアドバイザーとしてはもう学んでいますが、ちゃんと悲しみと向き合っていこうと思います。グリーフケアアドバイザーとして、というよりは、娘として。

息子を亡くした時とはまた違う悲しみを、今は感じています。それはきっと母との思い出がたくさんあるからなのでしょう。

その思い出を、これからも宝物として大切にしていきます。

そして今後は、その後を綴っていきます。